第12章 文化祭
ーSsideー
全く油断も隙もない…
だからカズと離れるの心配で嫌なんだよ。
カズを抱き締めながら、深いため息を吐いた。
文化祭の担当がメイドと裏方でカズと別々になってしまった。
あんなに可愛いメイドなカズを人目に晒すなんて絶対出来ないから一緒に裏方をやるつもりだったのに。
俺だけ強制的にメイドにされてしまった。
誰になんと言われようと断るつもりだったけど、俺がゴネてたらカズがメイドやるとか言い出しちゃって。
それはどうしたって認められないし。
カズの困ったような顔を見たら、それ以上ワガママは言えなくなってしまって…当日カズと働く時間を合わせてもらう約束で渋々了承した。
了承…したけどさ…
準備も別々だなんて聞いてない!
「なんでカズと一緒じゃないんだよ!」
「翔がメイドで、ニノは裏方だからだろ」
文句を言う俺に、潤が当然だと言わんばかりに言い返してくる。
「俺もカズとメニューを考えたい!」
「お前は内装を考えろ!」
「カズの作った試作を食べたかったのに!」
「試食かよ!そんなの試作が出来たらニノが食べさせに来るだろうよ!」
面倒臭そうではあるが、一応潤は相手をしてくれていたが
「そうかな…でも少しでもカズと離れたくないのにさ…」
「もう翔はほっとこう。内装なんだけどさ…」
納得出来なくてブチブチ愚痴り続ける俺を見限ったようで、俺を無視して話し合いが始まった。
ちらりと裏方チームに視線をやれば、いつの間にかカズが話し合いの中心にいた。
最初は遠慮がちに端っこで静かにしてたのに。
カズは人見知りなところがあるから心配していたけど、うまく馴染めたみたいで安心した。