第12章 文化祭
ほかにホットプレートで作れそうでカフェっぽいものってなんだろ…
「クレープ…は屋台っぽいか…?…えっと、あとはワッフルとか?専用の焼き機がないと無理?」
「いや、ワッフルか…いいかもしれない」
「ワッフルメーカー使ってもいいし、それか冷凍使えば簡単に出来るかもな」
「解凍してホットプレートで温めるだけでいいなら簡単だしすぐ出せるぞ」
「クリームの有無やソースを選べるようにしてさ」
とりあえず思いつくままに口にしてたらイイ線を突いたみたいで、あれよあれよと話が進んでいく。
ちょっとは役に立てたのかもって嬉しく思ってたら
「ニノ、食事系は何かないか?簡単で美味しくてオシャレなの」
「えー?そんなのある?」
すぐに次の質問が飛んできて頭を捻る。
要求が難しくない?
「…サンドイッチとか?」
「食中毒が怖いから生ものは避けたい」
「あ、そっか…」
またまた滝沢くんの注意が入る。
気を付けなきゃいけないことたくさんあるんだな。
「うーん…じゃあホットサンドは?オシャレかは分かんないけど、パンに挟んで焼くだけだから簡単だし、焼くから生じゃないし、具を変えれば色んな味で作れるよ」
「おおー!!」
「ニノすげぇ!!」
なんか知らないけど歓声が上がった。
やたら感心されて、あちこちから伸びてきた手にわしゃわしゃと頭を撫でられる。
よく分からないけど褒められてるみたいだし、なんかみんなとちょっと距離が縮まった気がして。
されるままにしてたら
「気安くカズに触るな」
ものすごく不機嫌な翔ちゃんの声が至近距離で聞こえて、俺の背後を見たみんなの手がパッと離れた。
「え?翔ちゃん?」
向こうで話し合いしてたんじゃないの?
なんで怒ってるの?
振り向こうとしたけど、それより先に後ろからぎゅっと抱き締められた。
何が何だかさっぱり分からない。
頭の中は疑問符だらけだけど、翔ちゃんの腕の中に包まれてるんだって思ったらすごく安心してフッと体の力が抜けた。
やっぱり1人だったから、自分でも知らない間にちょっと緊張してたのかも。