第12章 文化祭
「なんで俺に聞くの?」
「ニノがめちゃめちゃ料理うまいって翔が自慢げに話してたから」
不思議に思って聞いてみたらそんな答えが返ってきた。
なんかものすごい恥ずかしいんだけど。
ちょっと翔ちゃん!
俺が知らないところで何話してるのさ!
教室の反対側で同じように話し合っている翔ちゃんを、少し恨めしいような気持ちで思わず睨んだけど、翔ちゃんが気付くわけなくて。
それどころか、真剣に何やら話してる横顔がカッコよくて、うっかり見惚れてしまいそうになって慌てて視線を戻した。
「そんな上手じゃないよ」
「謙遜しなくていいのに…」
「ま、急にそんなこと言われたら恥ずかしいよな。ごめんごめん」
「でも何かアイディアないか?」
改めて聞かれて真面目に考えてみる。
俺だってクラスの一員だもん。
他人事じゃないんだから、ちゃんと参加しなきゃだよ。
「電気は使えるんだよね?」
「それはもちろん」
パッと頭に浮かんだのは初めて翔ちゃんに作ったもの。
「パンケーキは?ホットプレートがあれば焼けるよね」
「おお!カフェっぽい!」
「いいかも!」
「でも1枚ずつ焼くの大変じゃないか?意外と時間掛かるし、個体差が出ないようにしないとダメだし」
一瞬わっと盛り上がりかけたけど、滝沢くんの冷静な意見ですっと静かになった。
そっか、そうだよな。
あまり時間を掛けずに同じものを提供出来なきゃいけないんだ。