第12章 文化祭
ーNsideー
分担分けが決まったらすぐに文化祭準備が始まった。
文化祭前の2日間は授業なしの準備日になるけど、それだけじゃ絶対足りないから毎日放課後に集まって準備することになった。
もちろんみんなで協力し合うんだけど、ひとまずメイドチームがカフェの内装を、裏方チームがメニューを考えることになって。
翔ちゃんも智も潤くんもメイドチームだから、俺だけ別でちょっとさみしい。
本当は3人がメイドするって知った時、みんなと一緒なら俺もメイドでもいいかなって思った。
でも翔ちゃんの心配性は今回も炸裂してて。
胃に穴があくって言われちゃったら、それを押しきってまでメイドをやりたいなんて言えないし。
翔ちゃんはダメの一点張りだし。
それにやっぱりみんながあれほどドン引く女装姿で人前に出るのはかなりの勇気が必要だったから。
おとなしく裏方をやることで落ち着いた。
隣に翔ちゃんも智もいないのはちょっと心細いけど。
他のクラスメイトともっと仲良くなれる良い機会だと思うことにする。
「よし!試作もしなきゃだし、さっさとメニュー決めよう」
中心になって話を進めてくれるのは滝沢くん。
滝沢くんもすごいイケメンで女装もかなり似合ってたから、てっきりメイドをやるんだと思ってたけど。
“表も裏も全体を把握してたいから”ってメイドは辞退してた。
勿体ない気もするけど、クラス委員だもんね。
仕方ないんだろうな。
「教室は火が使えないから、火を使わないで作れるもので」
「食事系?甘いもの系?」
「がっつりしたものは難しいけど、軽食はあった方がいいんじゃないか?」
滝沢くんを中心に話合いが進む。
みんな積極的にどんどん意見を出して行くから、それを呑気に聞いてたら
「ニノ、火を使わないで作れて簡単で美味しいもの何かない?」
急に話を振られてびっくりした。