第12章 文化祭
「そんなわけないでしょ!ニノは大事な大事な親友だよ!」
うん、それは間違いない。
ついさっきもニノのためにあんだけ怒ってたんだ。
智はニノのこと誰よりも大切に思ってるんだから、そこは疑ってやるなよ…と思う。
「じゃあなんで内緒にするのさ」
「だって付き合ってないし!なんなの、その噂?」
拗ねたみたいに口を尖らせるニノに、智が心底不思議そうに首を傾げると
「新学期始まってすぐくらいからずっと流れてるぞ?」
「ああ、あんだけ噂になってんのに逆に知らないことに驚きなんだけど」
みんなが口々にわいわい喋り出す。
マジか。
全然知らなかった…
「実際2人の雰囲気がちょっと変わったからさ」
「そうそう、てっきり事実なんだと思ってたわ」
「全然否定しないしな」
笑いながら好き勝手に言われて、なんだかガックリと力が抜ける。
「そんな噂知らなかったんだから否定のしようがないだろうよ」
「でも夏休み毎日2人で美術室デートしてたんだろ?」
そんなことまで知られてんのかよ。
「デートじゃねーよ。絵を描くところを見てただけだし、ニノと翔もほぼ毎日来てたぜ」
「ああ、そっちは図書館デートだろ?」
「合流してWデートか」
2人きりだったわけじゃないと否定しても、軽く流されてしまう。
「違うって!俺たちは宿題してただけだよ」
ついでのように巻き込まれた翔も慌てて否定するけど、顔が赤いし。
翔たちのは間違いなくデートだろう。