• テキストサイズ

キミのとなりで【気象系BL】

第12章 文化祭



翔は俯くニノの頰に手を添えてその目を覗き込む。

「カズ、違うって言ったでしょ?気持ち悪いどころかカズは可愛すぎるの。その辺のアイドルなんか足元にも及ばないくらい可愛いんだよ?」
「そんなこと…」

じわじわと頬を赤く染めながらニノが否定しようとするけど、翔は最後まで言わせない。

「そんなことあるの!普通にしてても可愛いのに、メイドの格好なんかして人前に出たら誘拐されちゃうよ…考えただけで胃に穴があきそう。お願いだから、俺のためにカズは裏にいて?」

もはや懇願でしかなくなった翔の言葉に、ニノは耳まで真っ赤になってこくりと頷いた。

翔は安心したように微笑む。

手は頰に添えたままで、見つめ合って…
俺たちの存在なんて忘れてるんだろうな。

ひたすら空気が甘ったるい。

「あいつよく真顔であんなこと言えるよな」

もう呆れを通り越して感心してしまう。
尊敬に近いかもしれない。

「何がすごいって、あれを本気で言ってるってことだよ」
「心から心配してるのは伝わるけど」
「でもあんな甘いセリフがサマになるのはさすが王子だよな」

俺の呟きに滝沢や斗真たちもうんうんと頷いた。



「というわけで、カズは裏方!俺も裏方で!」

さんざんイチャついて満足したのか、しばらくしたら翔が高らかに宣言したが

「いや、翔はメイド」
「何でだよ!?」
「似合うやつは表」

滝沢に容赦なく却下される。

「いやだ!俺もカズと一緒に裏方がいい!カズと離れない!」

駄々っ子か!

こんな姿も今まで見たことないな。
王子どころか3歳児みたいだ。

「それにお前料理出来ないだろ?」
「ジュースをコップに注ぐくらいなら…」
「却下」

確かに翔が裏方に回っても出来ることはあまりないな…むしろ邪魔かも。

ちゃんと運べるかも怪しいところだが、裏方よりはマシだろう。

/ 803ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp