第12章 文化祭
笑ってたらカーテンが開いてやっと翔たちが顔を出した。
「なに笑ってるのー?」
出てきたニノはいつもとなんら変わりない様子だった。
でもよく見ると目の縁が赤くて泣いていたのが分かる。
そんな顔を見てしまうと、悪いことはしてないはずなのになんとなく罪悪感を感じてしまう。
まぁムカつくくらいデレデレな顔になってる翔が謝るなり慰めるなりしただろうから、もうこちらからは触れないけど。
ニノは既に制服に戻っていて。
翔のもう絶対他のやつにニノのメイド姿を見せないっていう強い意思を感じる。
ま、翔が何か言わなくてもニノも嫌がるだろうけど。
「智と潤と翔はメイドで決定だなって話してたんだよ」
滝沢がニヤリと笑って答えると
「はぁ!?なんで俺がメイドなんだよっ!?」
翔がこれ以上ないくらい目を見開いて声を荒げた。
「似合ってたからだって」
ぶぶっと吹き出しながら斗真が教えてやる。
翔はすぐに反論しようとしたみたいだけど
「3人ともメイドなの…?翔ちゃんも…?」
先にニノがポツリと呟いたから、言いかけた言葉を飲み込んだ。
「ニノは嫌だろ?だからやらなくていいよ。もう無理強いはしない。もちろんやりたいって言ってくれるなら、それは大歓迎だけど」
滝沢がさらりと、押し付けがましくなく伝えると
「俺…俺は…」
ニノの目が揺れた。
迷いが見える口ぶりに、周りは期待する空気になるが
「ダメダメダメ!!カズはメイドはやりません!!」
ニノが何か言うより先に翔が大きな声で断って。
「…そうだよね…俺のメイドなんて気持ち悪くて誰も見たくないもんね…」
途端にニノがシュンとした。