第12章 文化祭
マジか…
いや、別にいいんだよ。
智がメイドしたってさ。
でも、こんなめちゃくちゃ可愛いのに、その自覚が一切ないやつを不特定多数の男の前に出すとか…
マジで心配しかねーんだけど。
さっきニノのことが心配だと力説してた翔の気持ちが分かってしまう。
さすがにこんな大勢の前で天使だの妖精だの騒いだりしないけどさ。
いや、翔のやつよく真顔であんな恥ずかしいこと言えるよ…
そんなことをツラツラ考えていたら
「あ、もちろん潤もメイドな!」
滝沢にサラッと決めつけられた。
「はぁ!?なんでだよ!?」
「めっちゃ似合ってたから」
「あははは!」
シンプルな理由を聞いて智が爆笑する。
くそっと毒づきつつも、智がいつもの穏やかな表情に戻っていることに内心めっちゃホッとした。
「いいじゃん!潤、美人だったもん!一緒にメイドしようよ」
ぶくくと笑いながら、誘ってくる智はめちゃくちゃ可愛い。
まぁ一緒にいれば何かあってもすぐ助けられるか。
そう考えれば俺もメイドをしてた方がいいのかもしれない。
でも、やっぱりなんかモヤモヤするから
「翔もメイドな!」
こうなりゃヤケだと翔も道連れにしようとすれば
「当然!」
速攻で力強い返事が返ってきて。
なんだかおかしくなって、智と一緒に笑った。