第12章 文化祭
ーNsideー
女装なんて本当にしたくなかったんだけど。
みんなと一緒に笑って騒いでるうちに少しずつ楽しくなってきてて。
翔ちゃんと潤くんのメイド姿を見たら一気にテンションが上がった。
普段あんなにイケメンでカッコいいのに、女装したらものすごい美人で可愛くなっちゃうなんてズルイよね。
2人の女装の衝撃が大きくて、頭の中でごちゃごちゃ考えてたいろんなものが吹き飛んでいって。
智と一緒に写真を撮りまくってたら、めちゃくちゃ楽しくて。
いつの間にか自分の女装とかどうでも良くなってたから、自分の番が来てももう特に何も思わなかった。
智の言う通り、お祭りなんだから楽しまなきゃ勿体無いし。
今までの流れからして、似合わなくてもみんな笑い飛ばしてくれるだろう。
そう考えたら気持ちも楽になって、さっさと制服を脱ぎ捨ててワンピースに着替えていく。
「智ー、ファスナー上げて」
背中に手が届かなくて一緒に着替えてる智に頼んだら
「はいはい」
ニコニコしながらさっとファスナーを上げて、ついでにエプロンのリボンも結んでくれた。
お返しに俺も智のファスナーを上げて、リボンを結んであげる。
それにしても初めて履いたこのタイツ…なんか気持ち悪い。
スカートはスースーするし。
なんで女子ってこんな心許ないカッコで外歩けんだろ。
妙に感心しちゃったりして。
最後にウィッグを被ってレースのカチューシャを着けてみたけど、鏡がないから自分がどうなってるのか分からなかった。