第12章 文化祭
ーOsideー
メイド服試着の日。
クラスは異様なテンションに包まれていた。
他のクラスのやつに見られないように教室を閉めきって、ドアのガラス部分に目隠しして。
教室の一部にカーテンを張り巡らせて着替えスペースまで作られた。
「男しか居ないんだから普通にそこで着替えればいいのに」
ニノが不思議そうにカーテンを見て首を傾げる。
「体育の時とかはこんなのないのに変だよね」
それは俺も全く同意見なんだけど、さっき“こんなのいらないでしょ”って言ったら、ものすごい怖い顔した潤と翔くんに絶対必要だって怒られて。
体操着とメイド服は違うんだって力説された。
俺にはよく分からなかったけど、あの感じだと俺やニノが何言っても聞いてもらえなさそうだから、俺はもう何も言わない。
「なんでみんなあんなにテンション高いんだろ」
ニノはよっぽど女装が嫌なのかずっとご機嫌斜めなんだけど、更にクラスの空気が明らかにいつもと違うからなんとなく不安そうで。
「お祭りだからじゃない?ニノも翔くんと初めての文化祭楽しみにしてたじゃん。どうせみんな着なきゃなんだからさ、ニノも楽しも?」
「うん…」
俺だって別に女装なんてしたくないけど、ニノのメイド姿は絶対可愛いはずだから。
そこまで嫌がんなくてもいいんじゃないかなって思う。
ニノのほっぺをむにむにつまんでニコッと笑ってみたら、ニノも少しだけ笑ってくれた。