第2章 友だち
正直なところ、高校はニノと同じところは無理だと思ってた。
ニノは頭が良くて、成績もいつも上位。
第一希望を聞いたら、偏差値は高いし募集人数は少ないし。
俺は勉強が嫌いで、頑張ってまで高校に行きたくないとすら思ってた。
でもある時、ニノがポツリと「高校も一緒だったらいいのに」って、そう言った。
普段そんなこと言うやつじゃないからすごくびっくりして。
すごく心に響いた。
俺も、高校でもニノと一緒にいたいと思った。
ニノの一言が俺に火を着けてくれた。
それからは死に物狂いで勉強した。
もうこれ以上ないくらい頑張った。
しんどくて何度も心が折れたけど、その度に同じ学校を受けると伝えたときの本当に嬉しそうなニノの笑顔を思い出した。
そうやって努力してたら、頑張った分ちゃんと目に見える形で返ってきて、俺の成績は面白いくらい上がっていった。
俺ってやれば出来る子だったんだな。
最初は絶対無理だって言ってた先生たちも、応援してくれるようになって。
「2人が受けるなら俺も!」と、雅紀まで志望校を一緒にして。
なんとか···3人揃って合格出来た。
俺は頑張りすぎて、受験が終わった後しばらくは真っ白に燃え尽きていた。
高校ではニノと同じクラスになれた。
雅紀は隣のクラス。
盛大に落ち込んだ雅紀は、最初のうちは休み時間ごとに遊びに来ていたが、最近は昼休みだけになった。
俺とニノはいつも一緒にいた。
なかなかクラスに馴染めなかったけど、それはいつものことだし。
クラスメイトは良いやつばかりだった。
ある日、3人で昼飯を食ってるとき、雅紀が「2人とも可愛いから気を付けろ」なんて言い出した。
俺はともかく、確かにニノは可愛い。
下手な女子より全然可愛い。
雅紀にそう言われてから意識してみたら、ニノといると視線を感じる気がした。
その視線にどういう意味があるのかまでは分からないけど。
もし、その中に本当によからぬことを考えてるやつがいるなら気を付けないと。
ニノは自分が可愛いという自覚がない。
雅紀に忠告されても実感がなさそうだし、その後も人から見られているなんて気付いていなさそうだった。
ニノは非力だから、本気で襲われたら身を守れないだろう。
何かあったら守ってやんなくちゃ
こっそりそんな風に思った。