第2章 友だち
昔から俺はすごい人見知りで。
大勢でワイワイするのも苦手で。
学校でも1人でいることが多かった。
それを寂しいと感じたことはないし、むしろ楽でいいと思っていた。
休み時間は寝ているかボーッとしているかで、あとは絵を描いて過ごしていた。
ニノと仲良くなったのはいつだったか、時期ははっきりとは覚えてないけど中1の時。
教科書の写真に落書きしていたのを、たまたまニノに見られた。
その落書きがニノのツボにはまったらしく、しばらく動けないくらい笑ってた。
散々笑った後、目にたまった涙を拭いながら、また見せてねって言われた。
その時の笑顔がすごく可愛かった。
社交辞令かと思ったのに、ニノは本当にその後も何回も見に来て。
毎回あんまり楽しそうに笑ってくれるから、こっちも嬉しくなってきて。
どうしたらニノを笑わせられるか、ニノを喜ばせられるか、そんなことばかり考えるようになっていた。
最初は落書きを見せるだけだったのに、気付いたらニノと一緒にいることが増えた。
1人でいるのが好きだと思っていたけど、ニノは自分の中で特別だった。
「智の隣は落ち着く」なんて言われたら、すごく嬉しくて。
何でか俺にだけスキンシップが多いのも嬉しくて。
ある時気が付いた。
俺、ニノのこと好きなんだ。
別に男とか女とか、そういうのは気にならなかった。
ニノという人間を好きになったんだから。
別にニノに好きになってもらいたいとも思わなかった。
大切な友だちって思ってくれてるのは分かっていたから。
それで十分だった。
雅紀はニノの幼なじみで。
いつもニノにべったりくっついていた。
ニノは雅紀には当たりが強くて、最初はギョッとした。
でも雅紀は全く動じず、気にもしてなくて、優しい笑顔で受け止めていた。
付き合いが長い二人は兄弟みたいで、お互いの性格もよく知っているからこその態度なんだって分かった。
ニノの側にはいつも雅紀がいたから、自然と3人でいることが増えた。
明るくてまっすぐで裏表のない性格の雅紀のことも、すぐに好きになった。
ニノに対する気持ちとは違うけれど、雅紀の側も居心地が良かった。