第2章 友だち
もう一度ニノと櫻井くんを見る。
昨日まで見たことのない光景。
そういえば、昨日のニノはいつもと少し様子が違ったかもしれない。
何か言いたそうな、悩んでるような、そんな感じ···だったかもしれない。
でもニノは何も言わなくて。
言わないから俺は大して気にしなかった。
そのまま部活へ行ってしまった。
昨日の放課後に何かあったのかな。
ここに立ってても何も分からない。
分からないなら聞くしかない。
俺は二人に近付いていった。
「おはよ、ニノ、櫻井くん」
声を掛けると、二人ともこちらを向いた。
「おはよー、智」
「おはよう」
にっこりと挨拶を返してくれる。
聞きたいことは色々ある。
あるけど、口下手で頭も良くない俺は、何をどう聞いたらいいのか分からなくて。
分からないまま、とりあえず口を開いてみた。
「二人は付き合ってるの?」
飛び出したのはごくシンプルな質問。
聞かれた二人はキョトンとした顔をする。
何を聞かれたんだか分からないみたいな。
「·········」
「·········」
···あれ?違ったのかな?
付き合ってると思ったけど、勘違いだった?
違うなら変なこと聞いて悪かったな
なんて思っていたら。
「な、な、な、なに言ってんの!?」
ニノが明らかに動揺した。
「付き合うなんてあるわけないじゃん」
必死に否定してるけど顔が真っ赤だ。
「翔ちゃんに失礼でしょ!もう!」
櫻井くんに視線をうつす。
プンプンしてるニノは気付いてないみたいだけど、櫻井くんも真っ赤だよ。
それにニノが否定したとき、ものすごく悲しそうな顔してた。
「ごめんね、翔ちゃん。智が変なこと言って」
「ううん···気にしてないから」
お互い好きなんじゃないのかなぁ?
俺にはそう見えるけどな。
チャイムが鳴って先生が来たから、それ以上は聞けなかった。