第12章 文化祭
身長で選ばれてるんだと思うけど、俺は女装なんてしたくないから断固拒否だ!
「やだ!!絶対やだ!!」
みんなの声に負けないくらい大きな声を出したら、全員の視線が突き刺さった。
でも負けない!
「女装なんてしないからね!!そもそも俺はメイド喫茶なんて賛成してないし!!」
全力でごねて突っぱねると
「そんなこと言わないで、ニノ」
「ニノなら絶対似合うって」
「超可愛いメイドになるよ」
やたら下手に出るクラスメイトたちに褒められおだてられる。
でもそんなのにのせられるわけない。
「智もやでしょ?!」
黙って見てた智の腕を引っ張ると
「うん、やだ」
のほほんとはしてるけど、ちゃんと否定の答えが返ってきた。
「ほら!智もやだって!」
俺だけじゃないんだぞって訴えたら、大きな落胆の声が上がった。
「そんな!智まで!」
「頼むよ〜2人とも絶対似合うって〜」
「男なのに似合うわけないだろ!!やだったらやだ!!」
「ニノ〜そんなこと言わないで」
「お願いだから」
拒否し続けてたら、いつの間にかクラスメイトに取り囲まれて半ば拝まれてるみたいになってた。
なんでそんなに俺たちをメイドにしたがるんだよ!?
自分が着たくないならメイド喫茶なんてしなきゃいいじゃん!
「背が低いってだけでこんな一方的に押し付けられるなんて不公平だ!!イジメだ!!」
ムカムカしてつい怒鳴ってから、自分の言葉にハッとする。
「…もしかして俺たちイジメられてるの?」
翔ちゃんと潤くんのおかげで他のクラスメイトとも仲良くなれた気がしてたけど、そう感じてたのは俺だけだった?
やっぱり外部生だからダメなの?
なんだか急に心細くなって智にくっついたら
「カズっ」
輪の外で静かに見守ってた翔ちゃんが飛んで来てくれた。