第11章 誕生祝い to JUN
思いがけない智からのプレゼントに自然と気分が上がるのを感じる。
「開けていい?」
「うん」
智の了承を得て、少しワクワクしながら包みを開けると、出て来たのは1枚の絵だった。
「これ…」
智の描いたものだろう。
水彩画らしく、ふんわり淡くて優しい色合いで描かれていて、相変わらず抽象的だけどめちゃくちゃ綺麗だ。
何も言えずただただ見惚れてしまう。
智の絵はいつも俺には何が描かれているのか分からないんだけど、この絵はじっと見ていたら分かった気がした。
違うかもしれないけど、大きな二重の虹が描かれているように見えて。
これって…
「せっかくだから潤の目を通して見た世界を描きたくて…潤が送ってくれた写真の中から選んでみたんだ」
智が少し恥ずかしそうに説明してくれる。
「虹…だよな?」
「そう!分かる?」
確認してみると、智がパッと破顔した。
俺が分かったことを喜んでくれてるみたいだ。
「うん…これは分かるよ」
俺もめちゃくちゃ嬉しい。
フランス滞在中に、雨上がりに大きな虹が見えた日があって…それも綺麗な二重の虹で。
何か良いことがありそうな気がして智にも写真を送ったんだ。
それをこんな形にしてもらえるなんて…
「潤が幸せのおすそ分けって送ってくれたのが嬉しくてさ…おすそ分けの更にお返し」
静かに感激している俺に、智がニコニコしたままそんな可愛いことを言う。
もう俺は我慢出来ずに衝動的に智を抱き締めてしまった。
「じゅっ…潤っ!??」
智が焦った声を出すけど、すぐには体を離せない。
女の子みたいな柔らかさはないけれど、腕の中にすっぽり収まる華奢な体をぎゅっと抱き締める。
智が愛しくて仕方なかった。