第11章 誕生祝い to JUN
「これなら明日中に終わるな」
つきっきりで教えてた俺もさすがにちょっと疲れてきてて。
うーんと伸びをして固まった体をほぐしていたら、智が申し訳なさそうな顔になった。
「付き合わせてごめんな、潤」
「いーよ、気にすんなって!俺が好きでやってんだからさ」
「うん…ありがとう///本当に助かる」
そんな顔させたくなくて言った言葉に、何故か智はほんのり頰を染めた。
そんな可愛い表情、急にすんなよ!
勉強に集中するフリで気にしないようにしてたのに、自分の部屋に智と2人きりという状況を急に意識してしまって。
心臓がうるさく騒ぎ出す。
「続きはまた明日な。駅まで送るよ」
このままじゃヤバイと思って、慌てて立ち上がる。
「あ…うん…」
智はちょっとびっくりしたみたいだったけど、広げてた宿題をしまっていく。
でも全部片付いても、カバンを握りしめたまま動こうとしなくて。
「智?」
「うん…いや…あの…」
不思議に思って声を掛けると、何か言いたげに口を開くのに、出てくるのは意味をなさない言葉ばかり。
口ごもる姿に、何か言いにくいことがあるんだと察した。
「何?明日なんかあんの?」
「いや、なんもない!明日もお願いします!」
「あ、ああ…うん、了解」
勝手にまた明日なんて言っちゃったけど、もしかしてそれがダメだったのかなって思ったけど、むしろ食い気味に否定された。
「いや…そうじゃなくて…だから…あの…」
それでも智はまだ何か言いたげで。
「何?あ、もしかして送られるの気を使うからやだ?」
俺に思いつくのは後はもうそれくらい。
今まで何度も送ろうとしては断られてるから、駅まででも嫌なのかなって思ったんだけど。
「いや、それもちがくて…」
「じゃあ何?」
それも否定されたら、俺にはもう分からない。
お手上げだ。