第11章 誕生祝い to JUN
「あ…まだ飾ってくれてたんだ」
午前中からうちに来た智と、ずっと部屋で宿題をしてたんだけど。
昼時になったからリビングに移動してきたら、智の視線が部屋の一角でとまった。
そこは誕生日会の時に智が飾り付けしてくれた場所で。
さすがに風船はもう萎んできてしまったから片付けたけど、それ以外はそのままにしてた。
「ああ、本当の誕生日は今日だしさ…母さんも姉ちゃんも気に入ったみたいですげー絶賛してたし…片付けるタイミングが分かんなかったっつーか…」
まさか智がまたうちに来るなんて思ってなかったから、飾りをそのままにしてたのが見つかってしまった恥ずかしさもあって。
ちょっと言い訳じみた言い方になってしまったけど
「なんかまだ飾ってもらえてたなんて嬉しい」
智は飾りがそのままになっていたことを素直に喜んでるみたいだった。
智が嬉しそうな顔をしてるから、俺も少し素直になる。
「これ本当にすげーし…俺も気に入ってるから…勿体無くて片付けられなかったんだよ」
智が俺のために作ってくれたものだから…
だから片付けられないでそのままにしてたなんて、女々しい気もするけど。
本当のことを素直に言葉にしてみたら
「ありがと///」
智は照れながらも本当に嬉しそうに笑った。
柔らかい笑顔にときめく胸を誤魔化すように、智が来る前に作っておいたサンドイッチとスープを机に並べた。
簡単にランチを済ませたら、またすぐ勉強へ戻る。
何しろ時間がない。
限られた時間でやらなければいけないことはまだまだあるんだ。
もう全部終わってる俺の方が気が焦ってしまうけれど、一度やる気スイッチさえ入ってしまえば智の集中力は勉強にも発揮されるみたいで。
休憩も取らずに勉強を続けた結果、夕方には終わりが見えて来ていた。