第11章 誕生祝い to JUN
何故かっつーか、理由はちゃんとあって。
夏休みも今日と明日で終わり…明後日は始業式だというのに、智の宿題が終わってないことが発覚したからだ。
毎日絵を描き終わった後に一緒にやったりしてたし、俺がいない間はニノに教えてもらったりもしてたみたいだけど。
1人ではほとんどやってなかったんだろうな。
昨日何気なく聞いたらまだまだ残ってて、聞いた俺の方が焦った。
智は呑気なもんだったけど。
まぁ、あと2日必死にやれば終わる量だとは思う。
だから今日は絵を描くのはやめて1日勉強しようって昨日のうちに決めて。
まぁ勉強だって美術室でやればいいだろうと思ってたら、美術室にいると絵が描きたくなるとか智が言い出した。
じゃあ家でやればって言えば誘惑が多いから無理って言うし、図書館はって言えばニノたちがいるから気が逸れるって言う。
あんまりグダグダ言うから、思わず“じゃあうちに来いよ!”って言ってしまったら。
最初は驚いて目を丸くしてたけど、今度はグダグダ言うことなく“行く”って答えたんだ。
自分で誘っといてなんだけど、あっさり行くとか言われて動揺した。
いや、全然下心なんてないし、純粋に智の宿題を心配してるだけだし。
警戒心もなくニコニコしてる智はなんも気にしてないだろう。
でもさ、自分の部屋に好きなやつと2人きりって…それだけでドキドキするし、緊張もする。
でもやっぱり嬉しくて。
自然と浮かれる気持ちはどうにもならなかった。