第11章 誕生祝い to JUN
「そろそろかな」
時計を見た翔くんが潤に声を掛ける。
「本当だ。みんな靴持ってきて」
時間を確認した潤に促されて、みんなで玄関から靴を持って来るとそのままベランダに出る。
そうだよ!
楽しくて忘れかけてたけど、花火大会もあるんだった!
思い出したらワクワクしてきた。
ベランダはそこそこの広さがあって、テーブルとイスが置いてある。
ここでご飯食べたりお茶したりしてんのかな?
こんなとこまでオシャレだな〜。
さすが潤の家。
そんなことを思いながら手すりに凭れて周りを見回してみる。
潤の家はそんな高層階なわけではないけど、周りに大きな建物がないのと、もう暗くなってるからはっきりは見えないけど少し先は川らしくて視界が開けてる。
俺を挟むみたいにニノと智もやってきて。
それぞれの隣に翔くんと潤も並んだ。
5人が横一列に並んだところで、夜空に大輪の花が咲いた。
思ってたより大きく見える花火は本当に綺麗で。
全員言葉もなく、ただ咲いては消えていく花火を見上げ続けた。
「綺麗…」
ふいにニノの小さな呟きが聴こえて隣を見れば、キラキラした瞳に花火を映したニノと、そんなニノに花火そっちのけで見惚れてる翔くん。
「本当に綺麗…」
ニノにつられるみたいに智も小さく呟くから、反対側を見れば潤も翔くんと全く同じ状態で。
ふつふつと笑いがこみ上げて来る。
翔くんも潤も花火よりニノと智のが綺麗だって思ってるんだろうな。
確かに夢中になって花火を見ている2人はとっても可愛いけどさ。
潤なんてディズニーランド行った時は翔くんのこと笑ってたのにね。
こんな同じ反応しちゃって、もう絶対翔くんのことバカに出来ないでしょ。
堪えきれずに小さく笑いながら見上げる花火はやっぱりとっても綺麗で。
5人でこうしていることがなんだかすごく楽しくて幸せだった。