第11章 誕生祝い to JUN
「何なんだよお前ら…」
潤くんは差し出された3つのフォークを困ったような呆れたような顔で見つめて戸惑ってる。
その隙に俺は、呆気にとられてるっぽい智にもやるように目で訴えた。
“ムリムリ!”
智は口パクで拒否るけど
“や・る・の・!”
俺も口パクで言い返す。
なんかすごくいい流れだもん。
こんなチャンス逃せないでしょ。
これくらいやってあげてよ。
潤くんへの誕生日プレゼントにしようよ。
そんな気持ちを込めてじとーっと睨み続けてたら、根負けしたのか智は小さくため息を吐いて。
真っ赤な顔してケーキをすくうと、おずおずフォークを差し出した。
無言なのが残念だけど、智がやることに意味があるんだもんね。
智まであーんしようとしてると気付いた潤くんは、智につられるみたいに赤くなってて。
思わず翔ちゃんと雅紀と目を合わせてニヤニヤしてしまう。
「潤くんが食べてくれないから自分で食べちゃうもんね!」
自分のケーキを口に運びながら、翔ちゃんと雅紀に目配せしたら、2人もすぐ察してくれてフォークを引っ込めた。
「潤くんは智の食べてね♡」
言い捨てて、潤くんと智にさっさと背を向ける。
「このケーキおいしーい!」
「本当にうまい!いくらでも食える!」
「気に入ってくれて良かったよ」
2人のことなんて見てませんよー気にしてませんよーって空気を最大限に醸し出して、3人でケーキを食べてたら。
ものすごく恥ずかしそうにしながらも、潤くんが智のフォークからケーキを食べてるのが視界の隅っこに見えて。
真っ赤だけど幸せそうな2人に俺まで嬉しくなった。