第11章 誕生祝い to JUN
持参したエプロンを身につけたニノとキッチンに並ぶ。
翔の視線をビシバシ感じるけど、気付かないフリをさせてもらおう。
「サラダとパスタとお肉だっけ?」
「そう、シーフードパスタとチキンソテーの予定。先にサラダ頼んでいい?」
「了解♪」
ニノは手早く野菜を洗うと、楽しそうにレタスをちぎったり、キュウリやパプリカを切ったりし始めた。
「ニノ包丁使い上手くなったんじゃね?」
軽快な包丁さばきは調理実習で見たときよりかなり上達してるように見えて。
「本当?まだ料理し始めてそんなに経ってないんだけどね。潤くんに褒められると嬉しいな〜」
思ったまま口に出したら、ニノは素直に喜んだ。
「ねぇ、これは何してるの?」
ニノはシーフードミックスを解凍してるボールを興味深そうに覗き込む。
「塩水につけて解凍すんの。そうすると旨味が逃げないし、あんまり縮まない」
「そうなんだ!今度やってみよ!あ、それは何してんの?」
「肉の厚みが均等になるようにしてんだよ」
ニノはあれこれ気になるらしく、次々と質問してくる。
それでも作業の手は止めないんだから器用だよな〜。
「あれから毎日弁当作ってんの?」
「うん。潤くんもでしょ?」
「ああ、まぁ」
軽く聞いたら、聞き返された。
そりゃそうか。
「ねぇ、何かオススメのおかずない?」
「何系? 」
「うーん…魚でガッツリ系とかある?」
「そうだな…鮭フライとかどう?」
「いいかも!今度レシピ教えて!」
「あとで送るよ。ニノはどんなの作ってんの?」
「昨日はオムライス風おむすび作ったよ。チキンライスで作ったおむすびを薄焼き卵で包むの」
「へぇ」
「オムそばと迷ったんだけどね」
「それも面白いかもな」
主婦みたいな会話だと思わなくもないけど、情報交換出来るのは楽しい。
「ね、このお肉のソースは何が入ってるの?」
「これは…」
あれこれ喋りながら料理を次々仕上げていった。