第11章 誕生祝い to JUN
全員が手を洗い終えたところで、早速二手に分かれる。
「料理はニノが手伝ってくれるんでいいの?」
「うん。本当は智に頼もうと思ってたんだけどね、飾り付けの完成図が智の頭の中にしかないの。だから、ごめんだけど俺で我慢してね」
確認するとニノが申し訳なさそうな顔をした。
俺は最初からニノだと思ってたから全然いいんだけど。
「俺も料理を…」
「翔は飾り付けな!」
翔まで前のめりに立候補してくるから、途中で遮って仕事を割り振らせてもらう。
目に見えてガッカリする翔をニノが何とも言えない顔で見てるけど、翔も一緒に料理を…と言わない辺り気持ちは俺と同じなんだろう。
「俺はどっち?」
雅紀がワクワクした顔で聞いてくる。
「雅紀は料理出来るの?」
「まぁ、人並みかな」
翔よりひどいことはまずないだろうから、俺はどちらでもいいと思ってたら
「ごめん、雅紀もこっち手伝ってもらっていい?高いところ俺じゃ届かないから」
「いいよ」
智がそう声を掛けて、雅紀は快諾した。
「料理の方は人手足りる?」
「足りないならやっぱり…」
「いや出来るところまで下準備してるから大丈夫」
こちらを心配する智の言葉に、再び翔が身を乗り出すが、丁重に断らせてもらった。
元から撫で気味の肩を更に落とす翔。
するとニノが翔の手をぎゅっと握って
「翔ちゃん、智の頭の中にあるものを形にするお手伝いしてあげてね。きっと素敵なものが出来るから。楽しみにしてるね♡」
目を見つめてにっこりと微笑むと、途端に翔が元気になった。
やっぱりニノは翔の扱いが上手い。
「頑張るよ!カズも料理頑張ってね!」
「うん!美味しいもの作るね♡」
「ケガしないようにね。火傷も気をつけて」
「うん、気をつける」
今生の別れでもないのに手を握ったままなかなか離れようとしない2人。
いや作業する場所何メートルも離れてないから。
お互い目の前だぜ?
常に視界に入るっつーの!