第11章 誕生祝い to JUN
「忘れてた!まだみんな手洗ってないだろ!」
「潤くんて時々お母さんみたいだよね」
「ああ?!…ってか、いつまで風船つけてんだ?」
ニノの言葉に文句を言おうとしたけど、それ以上にふわふわ揺れる風船が気になる。
「忘れてた!!智取ってー!」
智がひもを解いてやるのを、翔が残念そうに見ていると思ったら
「せっかく似合ってたのに…風船の妖精が…」
そんなことを真顔で呟くから吹き出してしまった。
「風船の妖精ってなんだよ!?幼児の間違いだろ!!」
つい突っ込むと、何故か智が破顔した。
「さっき俺も全く同じこと思ったんだよ。潤のツッコミも想像通り」
隣でうんうんと頷いてる雅紀と3人で笑ってたら
「3人ともひどい」
ニノの拗ねたような声が聞こえて。
振り向いたらほっぺたをパンパンに膨らませて怒っていた。
「ごめん、ニノ」
「智が持てって言うから持ってたのに!」
「だって似合うんだもん」
「幼児ってなんだよ!」
「それくらい可愛いってこと」
「バカにしてる!」
智がなんとか宥めようとするけど、ニノは相当ご機嫌斜めなようだ。
「翔ちゃーん!みんながいじめるー!」
「よしよし」
翔は泣きついたニノの頭を優しく撫でると
「幼児だなんてひどいよね。妖精さんみたいに可愛かったのにね」
また真顔でそんなこと言うもんだから、ニノは膨れてたのも忘れて赤くなる。
「妖精でもないもん」
反論する声は明らかに小さくて。
「俺には妖精さんに見えたよ?」
「そんなわけない…///」
ほっといたら2人の世界に行ってしまいそうで。
いつもならそれでもいいんだけど、今日はそうもいかない。
「はいはい!俺が悪かったから!時間なくなるからとりあえず全員手を洗ってこーい!」
「はーい」
大きな声を出したら、良い返事がかえってきた。