第11章 誕生祝い to JUN
その後はサクサク必要なものを揃えていって、無事に全部買えた。
買ったものをレジ袋に詰めて、みんなで手分けして持つ。
たくさん買ったけど、4人いるから1人辺りの負担はそこまでじゃない。
でもカズの腕がプルプルしてるのが目に入って
「カズそれ貸して?」
思わず荷物を取り上げてしまった。
「俺、持てるよ。翔ちゃんもうたくさん持ってるでしょ」
カズは慌てて取り戻そうとするけど、荷物を持ってた手が真っ赤で痛々しく見えてしまう。
「カズは風船持ってるから」
「こんなの重さないもん」
カズが口を尖らせながら風船をゆらゆら揺らす。
「えっと…じゃあケーキを受け取ったら、ケーキはカズお願い」
「でも…」
何も持たないのは気を使っちゃうかと考え直してケーキをお願いしても、カズはまだ不満そう。
「ニノ、ケーキは責任重大だからね!」
「落とすなよ!絶対落とすなよ!」
「やなフリすんな!落とさないし!」
何か言いかけたカズに、智くんと雅紀が茶化すように声をかけてくれて。
わーわー言い合って笑ってるうちにカズの気も逸れたみたいだった。
智くんが小さくウィンクしてくれる。
2人とも分かってて気を逸らしてくれたんだ。
心の中で感謝して
「ケーキ屋さん行こう」
カズの手を引いて再び歩き出す。
「早く行こ!」
「どんなケーキか楽しみ♪」
「本当に♪」
智くんも雅紀も甘いものが好きみたいで、楽しそうにケーキの予想をしている。
「翔ちゃん、ごめんね。重たいでしょ?」
カズは俺の持った荷物に視線を落とすと、申し訳なさそうな顔をする。
「全然大丈夫だから気にしないで。それに俺がカズに重たいの持たせたくないだけだから…俺のワガママでごめんね」
こうやってカズが気にしちゃうって分かってても、それでも俺が嫌だっていう感情を優先するのは、ただのワガママだ。
「翔ちゃん優しすぎるよ…」
でもカズは感激したみたいな顔で目を潤ませるから
「でもケーキはお願いね。責任重大だって」
「任せて」
わざと軽く頼んだら、にっこり笑ってくれた。