第11章 誕生祝い to JUN
風船にガスを入れてもらったら、当然だけどフワフワ浮いちゃうわけで。
「はい、ニノは風船持つ係ね」
飛んでいかないようにニノの手首に風船の紐をくくりつける。
「なんでだよ!」
「似合うから?」
「風船に似合うも似合わないもないでしょ!」
ニノは気に入らないのか手をぶんぶん振るけど、その度に風船がフワフワして可愛らしい。
ちっちゃい子どもみたい…なんて心の中でこっそり笑ってたら
「いや!カズ!すごく似合うよ!めちゃくちゃ可愛い!」
なにやらテンションの上がった翔くんがニノの肩をガシッとつかんだ。
「翔ちゃん?」
「本当に可愛い!風船の妖精さんみたい!」
デレデレな翔くんに褒めちぎられて、ニノはカーッと真っ赤になった。
確かにめちゃくちゃ可愛いし似合ってるけど…妖精?幼稚園児じゃなくて?
「風船の妖精って…なに?」
雅紀も不思議そうに首を傾げてる。
「本当に可愛いから、このままカズに持っててほしいな。あ、でも重い?」
「だいじょぶ///」
風船が重いわけないじゃん!
空気より軽いから浮いてるんでしょ!
「カズが飛んで行っちゃったら困るから、手繋いでようね」
翔くんは大真面目な顔してニノの手を握った。
いやいやいや!
いくらニノが華奢だって、風船10個もないんだから飛ばないって!
学年トップの頭はどこにいっちゃったのさ。
どんだけ心配性なの?
「飛ばないでしょ!……飛ばないよね?」
雅紀も同じツッコミを入れたけど、翔くんが真顔だから不安になったのか確認してくる。
「飛ばないよ」
ここに潤がいたらきっともっと鋭いツッコミが入るのにな。
ツッコミながらも優しい目をして呆れたように笑う潤を思い浮かべたら、なんだか無性に会いたくなった。