第2章 友だち
イチャイチャする2人をぼんやりと見つめたまま、どのくらい経ったのか···実際は数秒だったのかもしれないが。
ふと背後に人の気配を感じた。
チラッと目をやると、今登校してきたらしい大野だった。
俺は入口を塞いでいたことに気が付いて、とりあえず教室の中に入る。
俺がどいて視界が開けたんだろう。
大野はすぐに翔と二宮に気付くと、驚いた顔をして固まった。
さっきの俺もこんなだったのかな。
目をまん丸に見開いちゃってさ、可愛いじゃん···ふと、そんなことを思った。
俺も驚いたけど。
俺は翔が二宮を好きなことは知っていた。
だから突然過ぎる展開にめちゃくちゃ驚いてるけど、まだ受け止められている。
でも大野は?
二宮が翔を好きだって知ってたのか?
もし知らなかったなら···
昨日までなんの接点もなかった2人が、突然ラブラブになってるんだから戸惑うだろう。
大野の胸中を考えると俺まで苦しくなる。
入学式に受けた衝撃を思い出した。
大丈夫かな···
余計なお世話と分かっていても、つい大野のことが心配になる。
大野はしばらく2人を見つめていたが、急に動き出した。
迷いなく翔と二宮に近付いていく。
「おはよ、ニノ、櫻井くん」
「おはよー、智」
「おはよう」
ごく自然に挨拶を交わす三人。
俺は黙って見ていることしか出来ない。
すると大野は柔らかい笑顔を浮かべて、恐らくその場の全員が知りたかったであろうことを口にした。
「2人は付き合ってるの?」