第11章 誕生祝い to JUN
「雅紀プール行けなかったから…5人の夏休み最後の思い出、いっしょに作ろうよ」
智の笑顔はニノの天の邪鬼も溶かしてくれたらしい。
俺の袖をきゅっと握りながら可愛いことを言ってくれる。
そっぽを向いたままだけど、チラリと見える耳が赤くて照れてるのが分かる。
ああ、こういうところ。
俺はやっぱりニノが好きだって思う。
どんなに口で可愛くないこと言ってたって、ニノは本当はすごく優しくて。
俺だけプールに行けなかったこと、まだ気にしてくれてたんだな。
ニノが俺に向けてくれる気持ちは、俺と同じものではないけれど。
それでもそこにちゃんと愛情があるって分かる。
それってすごい幸せなことだ。
「ごめん。本当に予定ないからさ、俺も参加させてよ」
「なんだよ!来れるならもったいぶるなよな!」
ニノは悪態をつきながらも、本当に嬉しそうな顔をしてくれた。
俺の大好きな笑顔。
なんとも言えない表情になっちゃってる翔くんには悪いけどこれくらいは許してほしい。
2人の仲を邪魔する気はないけど、兄弟みたいな幼馴染っていうポジションを手放すつもりはサラサラないんだから。
「今回は5人揃うね。嬉しいね、ニノ」
「別に、そんな嬉しくないもん」
あっという間に天の邪鬼が復活したニノは、智に向かって口を尖らせるけど、ニコニコしちゃって嬉しさを隠しきれてない。
「よし!雅紀も来れるなら決定だな!花火は夕方からだけど、早めに集まって買い出し行こう」
気を取り直したらしい翔くんが、サクサク時間と場所を決めてくれて、その日は解散になった。
花火も潤の誕生日会も楽しみだ!