第11章 誕生祝い to JUN
「気持ちは分かるけど、こればっかは仕方ないだろ」
気持ちが顔に出ちゃってたのかな。
潤には俺が何を考えてるのか分かったみたいで、俺だけに聞こえるくらいの小さな声で話しかけてきた。
「今さらあれを俺たちが止めるのも不自然だしさ」
目線だけで2人の世界に入ってるニノたちを指すと、潤は困ったように笑った。
確かにニノたちのイチャイチャを止めるなんて今さら過ぎるし、雅紀だって変に思うだろう。
「今は何もしてやれないけど、雅紀が必要としてくれた時にはいつでも手を差し伸べられるようにしておこうぜ」
「うん」
潤の言う通り、今は俺が雅紀にしてやれることはない。
雅紀も大切な友だちだから、力になれないのはもどかしい。
でも当たり前だけどニノは1人しかいなくて、そのニノの気持ちが向いてるのは雅紀ではないから。
やっぱり仕方ないと思うしかないんだろう。
俺の大切な人たちには、みんな幸せに笑顔でいてほしいのにな…
「こうやって気にかけて心配してくれる智がいるだけで、雅紀は幸せだと思うよ」
なんだかやるせない気持ちを持て余していたら、潤が励ますように頭を撫でてくれた。
ずっと1人で翔くんへの叶わない想いを抱えていたという潤の言葉は重みがあって。
「そうかな…そうだといいな…」
呟く俺の頭に手を乗せたまま、潤は優しく頷いてくれた。