第11章 誕生祝い to JUN

智は俺の真意を探るかのように、じっと俺を見つめていたけど

「そっか」

ふいにふわりと微笑んだ。

たった一言だけれど俺を包み込むような優しい声と柔らかい笑顔に胸があたたかくなる。

今回のことではっきりしたことはもう１つ。

俺が今好きなのは···

俺の心の中で翔よりも大きな存在になっているのは、智だっていうこと。

気になってる、惹かれてるとは思ってたけど、いつの間にか本気で好きになってたみたいだ。

智はニノが大好きで。
ニノの幸せを強く願っていて。

ニノのためなら、俺のことなんて智の中から吹っ飛んでしまうんだって。

そんなの知ってたけど、今回のことで改めてよく分かった。

でもニノのためにそこまで出来てしまう智を愛おしいと思ってしまうんだ。

自分で自分に呆れる気持ちもなくはないけど。

ニノを大切に想ってる智だから気になった。

最初からニノのことが大好きだって分かってて智を好きになったんだ。

ニノのことを好きなままでいいから、俺のことも見てほしい。

また報われない恋になるかもしれない。

想いは届かないかもしれない。

それでももう後悔はしたくない。

智にはいつかこの気持ちを伝えたいと思う。