第11章 誕生祝い to JUN
ーMsideー
翔にはっきりと友情以外の気持ちはないと言い切られた。
恋愛感情はないと。
それを聞いても、自分でも驚くほど心は穏やかだった。
胸の痛みも全くない。
親友だと言われれば、素直に嬉しかった。
ああ、俺の翔への気持ちは本当にただの友情に戻ったんだって。
すごく実感した。
真っ赤になって口元を覆って固まっている翔と、つられるように頬をピンクに染めているニノ。
ニノの様子がおかしいなんて、絶対翔絡みだとは思ったけど、まさか翔が俺を好きだと思い込んでいたなんて。
翔なんて誰がどう見てもニノのことしか見てないのに。
あんなに一途に想ってるのにこんな勘違いされるなんて、翔が不憫になってくる。
一体ニノは翔の何を見ているのやら。
絶対両想いなのに、翔のやつ苦労するな。
赤い顔で見つめ合う2人を見ても、浮かぶのはそんな感想だけだ。
「潤、ごめん」
ぼんやり翔たちを眺めていたら、いつの間にか智が隣にいた。
何やら眉毛を下げた情けない顔して謝ってくるけど
「え?何がごめん?」
俺には智が何を謝ってるのか本気で分からない。
「俺、ニノを何とかしなきゃって···ニノのことしか考えてなくて···」
智はますます申し訳なさそうな顔になって、声もどんどん小さくなっていく。
「でも、潤も···翔くんのこと···」
そこまで言われてやっと分かった。
智と雅紀には、翔が好きだったと伝えてたんだった。
智は俺の気持ちの変化を知らない。
まだ翔に恋愛感情があると思っているんだろう。
だからこんなに情けない顔をしてるのか。
確かに、もし俺がまだ翔のことを好きだったとしたら、さっきの翔の発言はかなりキツかったと思う。
でも今の俺には、むしろ自分の気持ちをはっきりと知る良い機会だった。