第11章 誕生祝い to JUN
ーSsideー
なんとかカズと潤を2人きりにするのは回避出来た。
別に潤がカズになんかするとは思ってないけど、それでもやっぱりカズが俺以外の男と2人きりになるのは嫌なんだ。
でもそんなの面と向かってカズには言えないから、理由を深く追及されなくて本当に良かった。
なんて、ホッとしたのも束の間。
気付けばカズが智くんにしがみついていた。
いつものことと言えばいつもの光景。
なんならついさっきもくっついて告白しあってたし。
でも今のこれは、いつものとは違う気がする。
カズの纏ってる空気が暗いというか、重いというか。
一体どうしたんだ?
本当に今の今まで元気いっぱいだったのに。
カズの急な変化に戸惑ってしまって、ヤキモチを妬くことすら出来ない。
「カズ?どうしたの?」
心配で声を掛けても顔も上げてくれない。
「カズ?」
何度か呼んでみるけど、ピクリとも反応しなくて不安になる。
智くんも困った顔をしていたけど、このままじゃ埒が明かないと思ったのか
「ちょっとニノとトイレ行ってくる」
どう聞いても嘘だと分かる口実を口にして、カズを連れて出ていった。
反射的に付いていこうとした俺の腕を潤が掴んでとめる。
「やめとけ。智に任せようぜ」
「でも···カズが···」
一体なんでこうなったのか理由が分からないことが、余計に不安を掻き立てる。
今日はお弁当を作ってきてくれて、さっきまであんなに可愛く笑ってくれてたのに。
俺のこと見ようともしてくれなかったカズの姿に泣きそうだった。
「頼むから泣くなよ?」
「···泣かねーし」
気持ち的には泣きたいが、潤の前で本当に泣くわけにはいかない。
それに俺の気持ちなんかより、様子のおかしかったカズが心配で堪らない。