第11章 誕生祝い to JUN
ーOsideー
ニノが急に静かになって。
どうしたのかと思って見たら明らかに元気がなくなってた。
ほんの数分前まであんなに幸せいっぱいにハートを撒き散らしてたのに、どうしたんだろう?
心配になって声を掛けたら、泣きそうな顔でしがみついてきた。
ええっ?本当にどうした?
なんで急にこんななっちゃったんだろ?
「ニノ?どうしたの?」
ニノの肩を掴んで顔を覗こうとしても、下を向いたままイヤイヤと首を振るばかりで。
「カズ?どうしたの?」
ニノの様子がおかしいことに翔くんも気付いたみたいだ。
でも心配した翔くんが近付いてきても、ニノは俺にしがみついたまま顔もあげない。
「カズ?」
そんなニノの態度に翔くんが不安そうな顔になる。
でもニノは俺にしがみつく力を強めるだけで。
何がなんだか全然分からないけど···
翔くんに対してこんな態度ってことは、きっとこのままここに居てもニノが口を開くことはないだろうなって思った。
「ちょっとニノとトイレ行ってくる」
あからさまな言い訳を口にして、潤に目配せをする。
潤は察してくれたみたいで軽く頷いてくれたから、安心してニノの肩を抱いて美術室から連れ出した。
悲壮な顔をしてる翔くんは潤が何とかしてくれるだろう。
廊下に出ると、かなり暑い。
ポケットに小銭が入ってるのを確認して、ジュースを買いに行くことにした。
「ニノ、ジュース飲みに行こ」
返事を待たずに、ニノの手を引いて歩き出す。
ニノは黙ってついてきた。
何をどう聞いたらいいか迷ってたら、結局何も話さないままカフェスペースに着いてしまった。
ジュースを2つ買って、1つをニノに渡す。
ニノはしばらく手のひらでジュースを転がして遊んでいたが
「智···」
俺がジュースを飲み始めた頃に、ニノの方から口を開いてくれた。