第11章 誕生祝い to JUN
「そういや、花火大会って行ったの?」
ふと思い出して聞いてみる。
「いや、行ってないよ。だって5人揃ってなかったから」
予想通りの返事に苦笑したくなる。
「2人で行きゃいいのに」
「なんで?みんなで行こうって話だったじゃん」
心底不思議そうな顔をする翔とニノ。
俺は逆になんでそこまで5人にこだわるんだと聞きたいけどな。
もちろん嫌な訳じゃないけど。
2人でデートすりゃいいのにって思っちゃうんだよ。
「はぁ···まぁ、いいや。まだ行ってないならさ、この週末うち来ない?うちから花火見えるんだよ」
「えー!家から!?」
「すごーい!!」
誘ってみたら、智とニノの瞳が輝いた。
「真下で見るほどの迫力はないけど、けっこう大きく見えるよ。人混みも関係ないしね」
「いいの?ご家族は?」
素直に喜ぶ智たちと違って、翔は家族の心配をしてくれる。
「全然いいよ。親はいないし、姉ちゃんは彼氏とデートらしいから、家に俺1人なんだ」
「潤くんのお姉さん受験生なんじゃないの?」
「姉ちゃん内部推薦で進学するからさ。のんきなもんだよ」
「そうなんだ。うちの姉ちゃんは毎日塾で大変そうだよ」
「うちもー」
そっか、姉ちゃんたち同い年だって智が言ってたな。
そうだよな、高3の夏休みなんて普通は大変な時期だよな。
ぼんやりと世間の受験生のことを考えていたら
「潤の誕生日近いからさ、その日に誕生日パーティーしない?ケーキとか食べ物買ってくからさ」
さらりと翔が提案した。
「潤の家で申し訳ないけど」
「それは別にいいけど。てか、誕生日祝いとかいいよ」
この年で自宅で誕生日パーティーとかちょっと恥ずかしい。