第2章 友だち
入学式から二宮に片想いしていた翔。
隠してるつもりのようだったが、俺は最初から知っていた。
翔が一目惚れした瞬間を隣で見ていたから。
人が恋に落ちる瞬間を見たのは初めてで、とても衝撃的だった。
だって俺は翔が好きだったから。
俺と翔が仲良くなったのは中学1年生の時。
当時俺たちは2人ともかなり背が低くて、背の順の先頭は常に俺か翔だった。
自然と2人組を組むことが多くて、話す機会も増えて、気付けば親友になっていた。
全然性格が違うのに···違うからかな。
とても気が合った。
翔は頭がよくて、真面目だった。
面倒見が良くて、人望もあって、生徒会長までやってた。
それでも決してお堅いわけではなくて。
明るくて優しくて、その上顔までいい翔は学校中の人気者だった。
その翔と親友なことが実は密かな自慢だった。
翔は今でこそ学園の王子とか呼ばれているが、当時はまるで女の子のように可愛かった。
そして俺もそうだった。
小柄で可愛かった俺たちは男子校でモテた。
大抵は冗談だったが、本気のやつもいて。
どちらかが告白される度に「男に好かれたって嬉しくないよな」なんて苦笑してた。
それが俺はいつからか笑えなくなった。
いつの間にか翔を好きになっていたから。
いつ友情から恋愛感情に変わったのかは、自分でも分からない。
気付いたら好きだった。
最初は信じられなくて···
認められなくて。
だって俺は女の子が好きで、男になんて興味なかった。
でも翔だけ特別だった。
そんなことあるわけない
この気持ちは気のせいだ
自分の気持ちを受け入れられなくて、何度も否定した。
それでも日に日に想いは強くなっていって···最後は認めざるを得なかった。
翔のことが好きだって。