第2章 友だち
ーMsideー
学校に着いた時、校内がいつもよりざわついているような気がした。
今日なんかあったっけ?
考えてみても何も思い付かない。
みんな何に興奮してんだ?
教室に向かう途中、ざわめきの中に
···櫻井···二宮····昨日···公園···
そんな単語が聞こえた気がした。
櫻井って、翔か···?
二宮と何かあったのかな?
首を捻りながら教室に入ると、飛び込んできた光景に思わず目を疑った。
俺は朝に弱くて。
なかなか起きられないし、なんとか起きてもどうしても頭がボーッとしてしまう。
だからか?
俺、まだ寝ぼけてる?
翔が二宮と話している。
それは···まぁ、いいだろう。
今まで一度も見たことのない光景だけど、クラスメイトなんだから別に話していてもおかしいことじゃない。
ただ、2人の距離が近い。
不自然に近い。
肩が触れ合いそうな距離で見つめ合って、何か話しては微笑み合う。
2人を包む空気が甘い。
それに、お互いの相手を見る顔···
二宮は頬を紅潮させて、ウルウルの瞳で翔を見る姿はまるで恋する乙女のようだ。
翔は翔で、今まで見たこともない蕩けそうなほど甘くて優しい笑顔で二宮のことを見つめている。
「カズ」
「翔ちゃん」
なんて甘ったるい声で呼び合って。
完全に2人の世界。
そんな2人に誰も近付けないのか、クラスメイトたちが遠巻きに見守っている。
廊下の喧騒が嘘のように教室内は静かだ。
2人の姿はどう見てもカップル。
昨日まではただのクラスメイトだった。
いや、それ以下だったかもしれない。
翔は二宮に片想いしていたけれど
二宮は、翔のことなんて全く気に掛けていなかった。
それとも実は密かに好きだった?
全くそんな風には見えなかったけど。
2人に一体何が起こったのだろう?
頭の中は疑問符だらけで
驚きすぎて、呆然としてしまった。