第11章 誕生祝い to JUN
「それもお土産?」
ニノの視線が俺の手元に注がれる。
「うん、ポストカード。潤が好きな絵みたい」
「智だけへの特別なお土産だね♡」
「俺が絵描くからだよ」
なんか“特別”っていう言葉が照れくさくて、ついぶっきらぼうになってしまう。
やっぱりずっと素直ではいられない。
それでもニノがにまにましてるから
「ニノだって、ニノだけのお土産翔くんにもらったんでしょ?」
ちょっと悔しくて言い返してみた。
ニノも照れてちょっと恥ずかしがればいいのにって思ったのに
「俺だけのかは分かんないけどもらったよ?」
ニノはあっさりしてる。
「山盛りもらったって電話で言ってたじゃん!そんなのニノだけに決まってるでしょ!」
「そうかなぁ···でも食べ物だったから他の人にもあげてるんじゃないかな···」
「そんなことないよ!ニノだけ!ニノは特別だって!」
結局なんでか俺が必死に力説することになった。
「ふふっ···何で智がそんな必死になるの?」
ニノがおかしそうに笑い出す。
「だって···だってさ···」
だってニノは絶対翔くんの特別だから。
早く気付いて幸せになってほしいんだよ。
「ありがと。でもいいの」
「何がいいの?」
「例えみんなにも同じものあげてたとしてもさ。俺のを選ぶときは俺のこと考えてくれてたはずだもん。もうそれだけで嬉しい。智もそうじゃない?」
本当に嬉しそうに笑うニノの言葉を聞いて、手元のポストカードを改めて見る。
このポストカードを選ぶとき潤は俺のことを考えてくれてたんだ。
俺のことだけ···
「うん、すごく嬉しい」
「ね♡」
ポツリと呟けば、ニノはますます嬉しそうに笑った。