第11章 誕生祝い to JUN
「これデザートに。お土産」
智が食べ終わったタイミングで、ガレットを出す。
「クッキー?」
「ガレットって言うらしい。ま、クッキーみたいなもんだよ」
「へぇ!いただきます!」
ぱくりとかじると、パアッと笑顔になった。
「うまい!」
「だろ?たくさんあるから遠慮なくどうぞ」
箱を智の前に置いてやると、嬉しそうに手を伸ばす。
「本当はさ、うまいチョコもたくさんあったから買ってきたかったんだけど。季節的に溶けるから諦めたんだ」
「フランスのチョコかぁ。食べたかったな」
「智チョコ好きなの?じゃあ溶けてもいいから買ってくりゃ良かったな」
「いや、溶けたチョコはいらね」
智はケラケラ笑ってるけど、本当に買ってくれば良かったなと思う。
まぁ、絶対溶けるけど。
「そうだ。これもやるよ」
「何?」
手渡したのは美術館で買ってきたポストカード数枚。
俺が自分の目で見て単純に好きだと思ったものを選んできた。
「わぁ、綺麗!ありがとう、潤」
ふわりと微笑んだ智の方が綺麗だ···なんて。
本気で思ってる自分がちょっと恥ずかしい。
絶対口には出せない。
「いろんな写真送ってくれたのも嬉しかった。あれ、潤が綺麗だと思ったり好きだと思ったものだろ?」
「ああ、そうだよ」
「やっぱり!なんか潤の目を通した世界を見てるみたいで面白かった」
智の言う通り、智に送ったのは好きだと思ったものや面白いと思ったもの、興味を引かれたものの写真ばかりだ。
これを智が見たらどんな風に見えるんだろうって、智にも見せたいって思いながら写真を撮ってた。
そんな気持ちが智に伝わってたんだな。