第11章 誕生祝い to JUN
気付いたら15時前。
そろそろかな?
様子を見てたら、智の腹が鳴った。
集中力が切れて振り向いた智に
「お疲れ」
今まで通りに声を掛けたら
「わぁっ!!?」
めちゃくちゃ驚いたのか、智が大声を出した。
鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してる。
「ふはっ、驚きすぎだろ」
初めてここに来たときみたいな反応だな。
思わず笑ってしまったら、智はちょっとムッとしたらしい。
「なんでいるの?」
「来ちゃダメだったか?」
ムスッとした顔を覗き込んだら、ぷいっとそっぽを向かれた。
「そんなことないけどさ。時差ボケで辛いんじゃなかったの?」
「まぁ、まだしんどいけど。多少無理してでもこっちの時間に合わせなきゃ直んないし。家にいると寝ちゃうからさ」
「ふーん」
自分用の言い訳を智にも使ってみるけど、そっけない返事。
そんな態度がなんかちょっと悔しくて
「それに、智に会いたかったんだよ」
智の耳元に顔を寄せて囁いてみたら、智の耳が真っ赤になった。
ばっと耳を押さえて睨んでくるが、その顔も真っ赤で迫力はない。
「なっ、なに言って···」
「本当だぜ?」
ちょっと意地悪な気持ちもあったけど、言ったことは本心だ。
「智は?少しは俺に会いたいと思ってくれてた?」
「俺は···」
智は赤い顔のまま動揺して言葉に詰まってる。
てっきりまたそんなことないって即答されると思ってたから少し驚く。
もしかして本当に少しは会いたがってくれてたのかもと、都合の良い方に捉えたくなった。