第11章 誕生祝い to JUN
ニノには、もっとマメに連絡してやれば良かったのにだの、なんで電話しないんだだの、あれこれ文句を言われ。
最終的には、翔は毎日ビデオ通話してくれたやら、帰国してすぐに会いに来てくれたやら、散々のろけられて終わった。
両想いでラブラブなお前らと一緒にすんなよ!とは思ったけど。
いや、本人たちは片想いだって思ってんのか。
片想いじゃありえねーくらいラブラブなのに。
まぁ、あいつらのことはどうでもいいや。
もし···もし本当に少しでも智も俺に会いたいと思ってくれてたなら。
それは素直に嬉しい。
やっぱり智に会いたい。
我ながら単純だと呆れるけど、気分の上がった俺は智に会いに行くことにしたんだ。
家でダラダラしてるより、無理にでも規則正しい生活にした方が時差ボケも早く直るだろ。
自分にそんな言い訳をしながらも、ウキウキする気持ちは隠せなかった。
美術室では智が1人で絵を描いていた。
智1人だったことに心から安堵する。
俺がいない間に、この部屋で俺以外の誰かと過ごしていたかも···なんて考えたくもない。
ま、ニノは来てただろうけど。
ニノは智の特別だし。
ニノなら俺もなんとも思わない。
今さらそこに嫉妬してもしょうがないし。
最初からニノのことが好きな智を好きになったんだから。
絵は俺の記憶の中よりかなり進んでいて。
それでもまだ完成してないのは、1週間描くのを休んでたからかな。
きっと翔がいなくてさみしかったであろうニノのために、自分から休むことにしたんだろうけど。
本当ニノに甘いっつーかさ。
ニノのこと大好きだよな。
ニノに向ける気持ちの1割でも構わないから、俺に向けてくれたらいいのにな。
智の横顔を見ながら、そんな考えてもどうにもならないことばかり考えてた。