第11章 誕生祝い to JUN
ーMsideー
久しぶりに通る通学路。
あまりの暑さにぶっ倒れそうだ。
毎年こんな暑かったか?
じめじめムシムシして日陰も全然涼しくないじゃん!
心の中でぶーぶー文句を言いながら、足早に学校を目指した。
日本に戻ったら、なるべく早く智に会いに行くつもりだった。
時々連絡は取ってたけど、連絡っつってもLINEだし。
この半月、顔を見てないどころか声も聞いてない。
電話すりゃ良かったんだろうけど、なんか改まると恥ずかしくて掛けられなかった。
電話が恥ずかしいってさ。
本当なんなんだって思うけど、相手が智だといつもの俺じゃなくなる気がする。
他のやつ相手なら何でもないことが、智には出来ないんだ。
これってやっぱりさ、そういうことだよなぁ。
とにかく智に会いたい。
だけど、現実問題として時差ボケがひどくて。
旅の疲れも出てるのか、ダルいし頭がボーッとする。
暑さに負けて外に出る気にもならないし、家に引き込もってダラダラゴロゴロしてた。
智には時差ボケがひどいんだって連絡したけど、そっけない短い返信しか来ないし。
智は別に俺に会いたくないのかと思ったら、ますます家から出る気が失せた。
それなのに、どうしてこのくそ暑い中しんどい体を引きずってまで学校に向かっているのかと言えば。
ニノからLINEが来たからだ。
“智が潤くんに会いたがってるよ♡”
どうもニノは俺の智への気持ちに気付いてるようで、時々智絡みのLINEをしてくる。
自分のことにはあんなに鈍いのに、なんで人のことは気付くんだよ。
面白がってんだか何だかニノの意図は分からないが、からかわれてるような気分になるのは被害妄想か?
“潤くんがいない間もさみしそうだったよ”
全部を真に受けるつもりはないが、それでもそんな風に言われれば悪い気はしない。