第11章 誕生祝い to JUN
あんまりにも美味しくて。
俺が8割くらい食べてしまった気がする。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
カズは空っぽになったお重を嬉しそうに片付けていく。
「俺、食べすぎてごめんね。カズ足りた?」
「うん、十分食べたよ。それに翔ちゃんがたくさん食べてくれて嬉しかった」
「だって本当にうまかったから。マジで箸が止まらなかった」
「良かった!俺、自分の作ったものを美味しいって食べてもらうのがこんなに嬉しいことだなんて知らなかった。潤くんが毎日お弁当作ってた気持ちが分かるかも」
カズはちょっと恥ずかしそうに目を伏せたあと、ちらりと上目遣いで俺を見る。
「···あのね、またお弁当作ったら翔ちゃん食べてくれる?」
「もちろん!!」
迷わず即答するが、ちょっと心配になる。
「でも俺はめちゃくちゃ嬉しいけど、カズ大変じゃない?」
「大丈夫、無理はしないから」
カズはにこっと笑う。
「翔ちゃん食べたいものあったら教えて?」
「俺なんでも食べるよ。好き嫌いほとんどないし」
「言ってもらえたほうが助かるんだけど···あ、じゃあ好きな食べ物は?」
「うーん···オムライスかな。そばとか。あ、シーフードも好きだよ」
「お肉は?ハンバーグとか焼き肉とか」
「好き!」
「分かった。ありがと」
「いや、こちらこそ」
頭を下げあって、なんだかおかしくて2人でクスクス笑った。
旅行でちょっと離れた時間があったから、こんな時間が今まで以上に幸せで愛おしく感じた。