第11章 誕生祝い to JUN
「俺、お弁当なんて作ったことないから美味しく出来るか分かんないけどいい?」
「え?···うん」
「明日は学校行くよね?」
「え?···うん」
話がよく見えなくて、バカみたいに同じ返事を繰り返す。
「じゃあ、明日お弁当作ってく♪」
「え?···う···ん···?」
明日?作ってく?
予想外の展開にうまく頭が働いていないようだ。
「えぇっ!?本当に!?」
時間差でやっと理解できた時には思わず叫んでしまった。
「え?嘘だった?」
途端に悲しそうになるカズ。
「本気にしてごめん···」
しょんぼり泣きそうな顔で謝られて、慌ててしまう。
「いやいやいや!本気!超本気だから!!」
「じゃあ、お弁当作っていい?」
ウルウルな瞳でこんな可愛く見つめられて、これでノーと言えるやつがいるのか?
いや、そもそも俺にはノーなんて選択肢は存在しないんだけど!
「カズが大変じゃないならお願いします!」
「うふふ、大丈夫♪頑張るね!」
思わず敬語でお願いしたら、カズが可愛らしく笑った。
「無理しないでね。なんなら日の丸ご飯だけでいいから」
「あはは!ちゃんとおかずも作るよ」
本当に無理してほしくなくて真面目に提案したのに、カズには笑い飛ばされてしまった。
「でもあんまり期待しないでね」
クスクス笑いながら、恥ずかしそうに付け足すカズが可愛くて可愛くて。
期待なんてしちゃうに決まってる。
でもそれは弁当の中身うんぬんじゃなくて。
カズが俺のために弁当を作ってくれるって行為自体に期待しちゃうんだ。
極端な話、弁当箱に白米が詰まってるだけだったとしても、カズが俺のために作ってくれたのなら心から嬉しい。