第11章 誕生祝い to JUN
ーNsideー
「出来た!」
「お疲れさま!美味しそうじゃない♪」
朝から姉ちゃんを巻き込んでキッチンにこもって。
ちょっと時間は掛かったけど、なんとか完成したお弁当。
からあげと卵焼き、ポテトサラダ。彩りにブロッコリーとミニトマト。おむすびはちっちゃく握って鮭と梅とおかかと昆布の4種類。デザートは果物。
初めてだから冒険はしないで定番なお弁当にして、2人分をまとめてお重みたいなお弁当箱に詰めてみた。
「本当?美味しそうに見える?」
味見したから、味は大丈夫なはずだけど。
「見える見える。初めてでこれなら上出来!翔ちゃんも喜ぶわよ」
「姉ちゃんは翔ちゃんて呼んじゃダメだってば!」
「はいはい、ごめんねー」
姉ちゃんは時々わざと“翔ちゃん”て呼ぶ。
からかってるだけって分かってるけど、やっぱりやだ。
「···本当に喜んでくれるかな?」
「大丈夫よ。自信持ちなさいって!」
自信がなくて俯きがちになる俺の頭を姉ちゃんが優しく撫でてくれた。
「私そろそろ行くね。お弁当ちゃんと保冷剤つけて持って行くんだよ」
「うん!あの···ありがとう!これ姉ちゃんの分」
別に詰めといた一人分のお弁当を渡す。
これは夜までびっちり塾の姉ちゃんの分。
塾があるのに、一緒に早起きして弁当作りに付き合ってくれた姉ちゃんには感謝しかない。
「ありがと。じゃあ、行ってきまーす」
「いってらっしゃい」
姉ちゃんを見送って、俺も学校へ行く準備を始めた。