第10章 夏休み4
ーNsideー
会いたくて会いたくて。
待ち焦がれていた翔ちゃんが帰ってきた。
昨日日本に戻ってきたけど、自宅に着いたのは夜だったみたいで。
昨日はまた電話だけ。
その代わり、今日は午前中の早い時間からうちまで来てくれた。
「ただいま、カズ」
「おかえりなさい」
嬉しすぎて抱きついちゃうかも···なんて思ってたのに、いざ翔ちゃんを目の前にしたら妙に照れくさい。
毎日顔見ながら電話してたし、一緒に旅行してる気分になれるくらいたくさん写真を送ってもらってた。
それでも。
それでもやっぱりさみしくて。
ずっとずっと翔ちゃんに会いたかった。
やっと会えて嬉しくてたまらないのに、1週間ぶりに会う翔ちゃんはキラキラしてて眩しくて。
なんだか恥ずかしくて直視出来ない。
人見知りしてるわけじゃないけど、今までの距離感が分からなくなってるというか。
どうしたらいいか分からないというか。
でももしかしたら翔ちゃんも一緒なのかな。
なんとなく照れくさそうというか、ちょっぴりぎこちない気がする。
俺の部屋に入ると
「これお土産」
翔ちゃんが持ってたバッグを見せてくれた。
「わぁ、ありが···と···」
なんかやたら大きいんだけど。
まさかこれ全部お土産じゃないよね?
「何がいいか迷っちゃって、色々買ってみたんだ」
「う、うん···」
「マカダミアナッツのチョコでしょ、クッキーでしょ、ポップコーンでしょ、ハチミツでしょ、パンケーキミックスでしょ···」
「こ、こんなにたくさん?」
まさかだった···
次々出てくるお土産にあっけに取られてしまう。