第10章 夏休み4
ーOsideー
「わぁ!とろとろ~!甘ーい!美味しいね、ニノ!」
「···うん」
わざとらしいくらい明るい声でニノに話し掛けるけど、反応は薄い。
焼きマシュマロを全然美味しくなさそうにもそもそ食べてる。
雅紀がうっかりキツいこと言っちゃってから、元気のなくなったニノ。
せっかくいい感じに楽しそうだったのにな。
でも雅紀だって悪気があった訳じゃない。
ニノがいつも以上にワガママだったし、雅紀だけじゃなくて先輩たちにまでそんな態度だったから、少しイラッとしちゃったんだろう。
でもニノのワガママも翔くんがいなくてさみしいからで、その分雅紀に甘えてたんだよな。
かなり分かりにくい甘え方だけど。
雅紀の言ったことは、いつもならニノだって全然気にしないくらいのことだ。
普通に言い返して遊んでるみたいな口喧嘩して終わるはずなのに。
それが出来ないくらい、今のニノは翔くんに会えなくて弱ってるんだな。
もともとニノはバーベキューに乗り気じゃなかった。
でも家に1人でいたって、またさみしくなるだけだろうし。
それなら半ば無理やりでも連れ出して騒いでた方が気が紛れると思ったんだ。
単純に俺がニノとバーベキューや川遊びしたかったのもあるけど。
「···翔ちゃんと食べたかった」
「そうだね。今度翔くんや潤ともバーベキューしよっか」
「···うん」
ニノがぽそっと呟くから、頭を撫でてあげた。
「相葉ちゃん焼けたよ!食べて食べて!」
「···ありがと、風ぽん」
雅紀もすっかり元気がなくなってしまって。
風間くんがあれこれ声を掛けて、世話を焼いてくれてる。
雅紀は優しいやつだから、わざとじゃなくてもニノを傷付けてしまった自分を責めてるんだろうな。