第10章 夏休み4
気付けば肉と魚しか食べてない2人。
「野菜も食べろよー」
「はーい」
焼けた野菜を見せると、智は素直に皿を出してちゃんと食べる。
それなのに、ニノの皿にも野菜を乗せようとしたら
「いらないっ!野菜きらい!」
ニノはパッと皿を背中に隠した。
「子どもか!好き嫌いすんな!」
怒ったらあっかんべーしてくる。
マジで子どもか!
「ニノちゃん、肉のおかわりは?」
「お肉もいらない」
「もういいの?!」
先輩が声を掛けるが、それにも首を振るニノ。
相変わらずの少食だ。
いや、でもニノにしたら食べたか···なんて思ってたら
「俺、焼きそばが食べたい♡」
ニノが甘えた声でワガママを言う。
「こら!まだみんな肉食ってるだろ!ちょっと待ってろ!」
「焼きそばが食べたいんだもん!」
「いーよいーよ!すぐ焼きそば作るね」
「わぁい♡」
俺が注意したのに、ニノに甘えられてデレッとした先輩がワガママをすんなり聞いちゃうもんだから
「あんまり甘やかさないでください」
先輩に抗議をしたら
「もう!雅紀うるさい!作ってくれるって言うんだからいいじゃん!」
「おい!」
またニノがべーっと舌を出した。
さすがにちょっとムカッとして。
「あんまりワガママだと翔くんに嫌われるぞ!」
「翔ちゃんに···?」
つい翔くんの名前を出しちゃったら、さっとニノの顔色が変わった。
その顔を見てハッとする。
あぁ!!やっちまった!!
明らかに落ち込んだ様子のニノは俯いて黙り込んでしまう。
「雅紀···」
智がたしなめるような声を出した。