第10章 夏休み4
楽しそうに釣糸を垂らす智と、その隣でちんまり座って見てるだけのニノ。
その様子を写真に納める俺。
「翔くんにニノの様子知りたいから写真もたくさん撮っておいてほしいって頼まれてんの」
「あはははっ!カメラマンまで!相葉ちゃん大忙しだね」
風ぽんは大爆笑だ。
「ごめん、風ぽん。つまんないでしょ。遊んできていいよ?」
「え?相葉ちゃんといると楽しいけど···あ、俺いない方がいい?」
「いやいやいや!風ぽんが居てくれたら俺も楽しいよ!」
「じゃあ、このままで」
にこっと笑って隣に居てくれる風ぽん。
ニノとも智とも、翔くんや潤とも違うけど、風ぽんの隣も居心地がいい。
俺、友だちに恵まれてるな。
しみじみ幸せを噛み締めたりして。
のんびりと釣りをするニノたちの様子を、写真撮りながら眺めていたら
「あ!相葉ちゃん!先輩たちがバーベキューの準備始めてる」
風ぽんに言われてテントの方を見ると、先輩とお兄さんたちがテキパキ動いてた。
いくらゆるい部活と言ったって、先輩が働いてるのに1年生の俺たちが遊んでいるわけにはいかない。
別に先輩たちに強制なんてされないけどさ。
先輩たちが率先して動いてくれるから、俺らもやらなきゃって自然と思うんだ。
「俺行くね」
「俺も行くよ」
「二宮くんたちはいいの?」
パッとテントへ戻ろうとする風ぽんの後を追うと、風ぽんが心配そうな顔をした。
「先輩が何人かついてくれてるし、見えるとこだから大丈夫!」
見てて気付いたんだけど、先輩たちは知らないやつが近付いてこないようにさりげなくガードしてくれてた。
みんな海でのことを知ってるから、気にかけてくれてるんだろう。
安心して任せることにして、集まってきた1年のやつらと先輩の指示に従って動いた。