第10章 夏休み4
「あとはね、ボーリングとかゲーセンとか行こうかって···」
「ねぇ、翔くん!雅紀にね、バスケ部のみんなでバーベキュー行くから一緒にって誘われたんだけどさ。ニノも行くように説得してくれない?」
まだ喋ってたのに、急に智が割り込んできた。
『バーベキュー?』
「そう。ニノと一緒に行きたいのに、ニノが行かないって言うんだ」
翔ちゃんに切々と訴える。
「もう、智!」
文句を言ったら、智はパッと離れていったけど
『カズ行きたくないの?』
翔ちゃんに不思議そうに聞かれてしまう。
「だって翔ちゃんいないもん···翔ちゃんが一緒じゃないなら行かなくていいかなって···」
口に出してみたら思ってたより恥ずかしくなって、しりすぼみに声が小さくなる。
聞こえたかな?
ちらりと画面を見ると、翔ちゃんの顔がふにゃりと崩れてた。
え?何?
パチパチ何回か瞬きしてみたら、いつも通りの翔ちゃん。
見間違えかな?
『雅紀や智くんが一緒なんでしょ?せっかくだから行ってみたら?』
「翔ちゃんは行った方がいいと思う?」
『無理して行く必要はないけど。行ったら楽しいんじゃないかな』
「翔ちゃんがそう言うなら行こっかな···」
智は一緒に行ってほしいみたいだし。
翔ちゃんがいないのはさみしいけど、バーベキューに行かなくても翔ちゃんがいないことに変わりはないもんね。
それなら確かに遊んでた方が気が紛れるかも。
『あ、でも絶対1人になっちゃダメだよ!智くんか雅紀と一緒にいてね!』
「うん、分かった。バスケ部のみんなもいるし、気を付けるから」
翔ちゃんに心配掛けたくないから、ちゃんと約束する。
『うん、バスケ部員たちにも気を付けてね』
「何を気を付けるの?」
『え、いや、まぁ···色々ね!』
バスケ部員たちに色々って何??
「う、ん···?」
『色々気を付けつつ、楽しんでおいでね!』
「···うん、ありがと」
何が言いたいのかよく分かんなかったけど、強引に話をまとめられてしまった。
とりあえず何かに気を付けよう。