第10章 夏休み4
「そうだ!この週末にバスケ部でバーベキューすんの。予定ないなら2人も一緒に行こうよ」
「バーベキュー?」
「先輩のお兄さんとその友だちが車出してくれるんだ。川で水遊びや釣りも出来るよ」
雅紀からのお誘い。
俺はあまり心惹かれないけど。
「釣りかぁ」
智は行きたそう。
釣り好きだもんね。
「2人が来たらみんな喜ぶよ!」
「智は行く?」
「ニノと一緒に行く」
「えー···俺はいいよ。翔ちゃんいないし」
「翔くんいないけど···いないから暇なんでしょ?さみしいんでしょ?行けば気が紛れるし、きっと楽しいよ」
「···そうかなぁ」
珍しく饒舌な智がぐいぐい誘ってくる。
「そうだよ!俺、ニノと一緒に行きたい!」
「えー」
目をキラキラさせてそんなこと言われても、全然行きたいと思わなくて。
でもこんな智見ちゃうと断りにくいし。
ちょっと困ってたら携帯の着信音が聞こえた。
「ニノじゃない?」
雅紀に言われて急いで確認すると、翔ちゃんからの着信。
今日はビデオ通話だ!
「翔ちゃん!」
『もしもし?あれ?今日は学校じゃないの?今大丈夫?』
翔ちゃんの顔が見れてテンションが上がる。
昨日1日会えてないだけだけど。
顔が見れるとやっぱり嬉しい。
「大丈夫!今日はね、雅紀のバイト先に智とサプライズで遊びに行ったんだよ」
スマホをずらして、智と雅紀を写すと
『智くん!雅紀!』
「翔くーん」
「やっほー」
お互いに名前を呼びながら手を振り合ってる。
楽しそうだけど、俺も翔ちゃんの視界に入りたくて画面を戻した。