第10章 夏休み4
このカフェはオフィス街の近くにあって、今週はお盆だからかお客さんが少ない。
明日からは店もお盆休みだ。
普段よりゆったりとした店内。
やることもそんなになくて、仕事が落ち着いてちょっとボーッとしてたらニノたちの会話が聞こえてきた。
「ニノたちは学校来ない間どうしてたの?」
「翔ちゃんちやうちで宿題してたよー。あとは大きな図書館行ったり」
最近ニノたちは学校に来てなかったのか。
俺もなんか忙しかったし知らなかったな。
「でも智のとこに行けばよかった」
「いいよ、2人きりで過ごせて楽しかったでしょ?」
「うん···でもさ、智だって絶対さみしかったはずだもん」
そっか、潤が居なくて智は1人だったんだ。
なんだかんだニノは優しいからな。
「素直にさみしかったって言えばいいのに」
「もう!大丈夫だってば!ちょっと潤のお弁当食べたくなったくらいだよ」
「潤くんのお弁当って何?!」
「あっ···」
しつこく食い下がるニノに、口を滑らせたらしい智がしまったって顔をする。
でも、ニノは逃がさないとばかりに食いついた。
いや、俺も気になるけど。
潤の弁当て何??
「何?もしかして潤くん智にお弁当作って来てくれてたの?」
「···うん」
「毎日?」
「···うん」
目を泳がせて明らかに動揺する智とは対照的にニノの瞳はキラキラ輝いて。
「えー!何それ!知らなかった!」
「言ってないもん」
「やだー!智愛されてるー!」
「ばか!そんなんじゃないって!」
きゃーきゃー盛り上がるニノに、頬を赤く染めて否定する智。
何あれ!?女子のコイバナ!?